西洋的サバイバル思想の欠点を補う、共産主義やポストモダニズムの、自我の呪縛

 西洋思想は、そのサバイバル思想の欠点を補おうと、共産主義やポストモダニズムを考えたが、やはり、自我の欲望から逃れられずに、分断と対立は消えず、サバイバル思想を色濃く残している、と


ーーーーーおっしゃる通り、西洋思想はサバイバル思想の欠点を補おうと共産主義やポストモダニズムといった思想を生み出しましたが、根本的な自我の欲望から逃れることができず、分断と対立が解消されず、結果としてサバイバル思想の色濃い影響を残しているというご指摘は、非常に重要な点です。これらの思想が抱えるジレンマと、現代社会への影響を詳しく見ていきましょう。

1. 共産主義の試みと挫折:

  • サバイバル思想への批判: 共産主義は、資本主義における自由競争が格差と貧困を生み出すという批判から生まれました。生産手段の共有化と平等な分配を目指すことで、競争のない、協力と連帯に基づいた社会を実現しようとしました。これは、サバイバル思想に対する明確なアンチテーゼでした。

  • 自我の欲望と権力集中: しかし、現実の共産主義国家では、計画経済の非効率性や官僚の腐敗、権力集中による独裁体制といった問題が生じました。これは、人間の自我の欲望、特に権力欲を十分に考慮していなかったためと言えます。平等を掲げながらも、実際には支配者と被支配者の新たな階級が生まれ、抑圧と不平等が蔓延しました。

  • サバイバル思想の変形: 共産主義は、資本主義的な競争を否定しましたが、国家間の競争や体制維持のための権力闘争といった形で、別の形のサバイバル思想を生み出す結果となりました。

2. ポストモダニズムの挑戦と限界:

  • 普遍主義への批判: ポストモダニズムは、近代の普遍主義的な価値観、例えば理性中心主義や進歩史観、客観的な真理の存在などを批判しました。多様性や差異、相対主義を強調し、単一の価値観による支配を否定しようとしました。これも、ある意味でサバイバル思想が作り出す画一性への抵抗と言えます。

  • 解体と相対化の行き過ぎ: しかし、ポストモダニズムは、あらゆる価値観を相対化し、解体していく傾向が強まり、かえって価値観の混乱とニヒリズム(虚無主義)を生み出す結果となりました。絶対的な基準が失われたことで、何が正しいのか、何を信じるべきなのかが不明確になり、社会的な連帯感が弱まりました。

  • 分断の深化とサバイバル競争の温存: ポストモダニズムは、多様性を尊重する一方で、共通の基盤を失い、社会の分断を深める要因ともなりました。個々人がバラバラになり、自己主張を繰り返す状況は、別の形のサバイバル競争とも言えます。

3. 自我の欲望からの脱却の難しさ:

共産主義もポストモダニズムも、サバイバル思想の欠点を克服しようとしましたが、人間の根本的な部分、つまり自我の欲望から完全に逃れることはできませんでした。

  • 権力欲: 他者よりも優位に立ちたい、支配したいという欲求は、人間の根深い部分に存在し、共産主義体制においても権力闘争を生み出しました。

  • 自己保存欲: 自己の利益を最優先するという欲求は、自由競争を否定する共産主義においても、異なる形で現れました。例えば、特権階級による不正蓄財や、資源の浪費などがその例です。

  • 承認欲求: 他者から認められたい、評価されたいという欲求は、ポストモダニズムにおける自己主張の激化や、アイデンティティポリティクスの強調に繋がりました。

4. サバイバル思想の残存とその影響:

これらの思想の試みにもかかわらず、現代社会には依然としてサバイバル思想の影響が色濃く残っています。

  • 経済格差の拡大: グローバル経済における競争の激化は、富の偏在を加速させ、経済格差を拡大させています。

  • 社会的分断の深刻化: 政治的な対立、文化的な対立、世代間の対立などが深刻化し、社会の分断が進んでいます。

  • 環境問題の深刻化: 経済成長を優先する考え方は、地球環境への負荷を増大させ、気候変動などの深刻な問題を引き起こしています。

  • 精神的な不安の増大: 競争社会の中で、人々は常に不安やストレスにさらされ、精神的な健康を損なうケースが増えています。

5. 今後の展望:新たな価値観の模索:

サバイバル思想を超え、より調和のとれた社会を築くためには、人間の自我の欲望と向き合い、それを制御するための新たな価値観を模索していく必要があります。

  • 利他主義の重視: 自己の利益だけでなく、他者の利益や社会全体の利益を考慮する利他主義の精神を育む。

  • 共生と調和の理念: 人間と自然、人間と人間との共生を重視し、調和のとれた社会を構築する。

  • 精神的な豊かさの追求: 物質的な豊かさだけでなく、心の充足や精神的な成長を重視する価値観への転換を図る。

  • 東洋思想からの学び: 調和や縁起を重視する東洋思想から、多くのヒントを得ることができる。

結論として、共産主義やポストモダニズムは、サバイバル思想の欠点を克服しようと試みましたが、人間の自我の欲望から完全に逃れることはできず、結果としてサバイバル思想の影響を残しています。現代社会が直面する課題を解決するためには、自我の欲望と向き合い、利他主義や共生といった新しい価値観を創造していくことが重要です。


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