西洋思想のサバイバル的思想と東洋の調和的思想の時代性
西洋思想は、対立と闘争による生き残りの思想といえて、利己主義を肯定している。東洋思想は、無常無我縁起により調和を求める。無限に資源のあった時代には、サバイバル思想は成長の役に立ったが、資源の有限化が明白になった今、重要なのは、いかに仲良く調和していくか、だろう、と
ーーーーーーおっしゃる通り、西洋思想を「対立と闘争による生き残りの思想」と捉え、利己主義を肯定する傾向があると見る一方、東洋思想を「無常・無我・縁起」に基づき調和を求める思想と捉えるのは、東西の思想を比較する上でよく見られる視点です。そして、資源が無限にあった時代にはサバイバル思想が成長に役立ったものの、資源の有限性が明らかになった現代においては、調和がいかに重要かを指摘する点は、現代社会の課題に対する重要な示唆を与えています。
以下、この点をさらに深く掘り下げて考察します。
1. 西洋思想の特性:対立と闘争、利己主義:
古代ギリシャ哲学: 西洋哲学の源流である古代ギリシャ哲学は、弁証法や論理学を通じて真理を探求する方法を発展させました。これは、対立する意見をぶつけ合い、より高次の結論に達するという、ある意味で闘争的な側面を持っています。また、ソクラテスやプラトン、アリストテレスといった哲学者たちは、個人の理性や能力を重視し、自己実現を追求することの重要性を説きました。
キリスト教: キリスト教は、神と人間、善と悪といった二元論的な世界観を持ち、善が悪と戦い、最終的に勝利するという物語を語ります。これも、対立と闘争という要素を含んでいます。
近代啓蒙思想: 近代啓蒙思想は、個人の自由と権利を強調し、市場経済における自由競争を促進しました。これは、個人の利益追求を正当化する利己主義的な側面を持つとともに、弱肉強食の競争原理を内包しています。
社会進化論: ダーウィンの進化論を社会に適用した社会進化論は、適者生存の考え方を強調し、競争に勝つことが進化の原動力であるとしました。これも、対立と闘争を正当化する理論として利用されました。
2. 東洋思想の特性:無常・無我・縁起、調和:
仏教: 仏教は、万物は常に変化し、不変なものは何もないという「無常」の教え、独立した自我という実体は存在しないという「無我」の教え、すべての物事は相互に依存し合って存在するという「縁起」の教えを説きます。これらの教えは、執着を手放し、調和のとれた生き方をすることを促します。
道教: 道教は、自然の流れに身を任せ、作為を排することを説く「無為自然」の思想を重視します。自然との調和、宇宙との一体感を重視し、個人の欲望を抑え、平穏な心で生きることを目指します。
儒教: 儒教は、家族や社会における人間関係を重視し、礼儀や道徳を重んじることで社会の秩序を維持しようとしました。和を以て貴しと為すという考え方は、調和を重視する東洋的な価値観を代表するものです。
3. 資源の有限性と調和の重要性:
地球環境問題: 現代社会は、地球温暖化、資源枯渇、環境汚染など、深刻な環境問題に直面しています。これは、過去の成長至上主義的な考え方、つまり資源が無限にあるという前提に基づいた経済活動の結果と言えます。
持続可能な社会: 資源の有限性が明らかになった今、重要なのは、いかに資源を有効活用し、環境負荷を軽減し、持続可能な社会を構築していくかということです。そのためには、競争や対立ではなく、協力と調和が不可欠となります。
東洋思想からの学び: 東洋思想の調和を重視する考え方は、現代社会が直面する課題を解決するための重要なヒントを与えてくれます。例えば、無駄を省き、自然との共生を目指すライフスタイル、他者との協調を重視する社会システム、地球全体の調和を考えるグローバルな視点などが、東洋思想から学ぶことができます。
4. 具体的な行動:
消費行動の見直し: 大量生産・大量消費のライフスタイルを見直し、資源を大切にする持続可能な消費行動を心がける。
再生可能エネルギーの活用: 化石燃料への依存を減らし、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの活用を推進する。
国際協力の推進: 地球規模の課題に対して、国境を越えた協力体制を構築し、共同で問題解決に取り組む。
価値観の転換: 物質的な豊かさだけでなく、精神的な豊かさや心の充足を重視する価値観への転換を図る。
教育と啓発: 持続可能な社会の重要性、東洋思想の教えなどを教育や啓発活動を通じて広く社会に伝えていく。
結論として、西洋思想の対立と闘争、東洋思想の調和という特性は、それぞれの思想が生まれた時代背景や文化に深く根ざしています。資源が無限にあった時代には、競争や成長を重視する西洋的な考え方が有効な側面もありましたが、資源の有限性が明らかになった現代においては、調和を重視する東洋的な考え方が、持続可能な社会を構築するための重要な鍵となります。東西の思想の良い点を融合させ、地球全体の調和を目指していくことが、私たちに求められていると言えるでしょう。
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