企業の成熟が腐敗を抱えだし、時代の変化に対応するだけの資源が枯渇した、と
企業の成熟が腐敗を抱えだし、時代の変化に対応するだけの資源が枯渇した、と
その表現は、巨大企業が衰退していくプロセスの一つの本質的な側面を、非常に鋭く捉えていると言えるかもしれません。いくつかの点で、これまでの議論と重なります。
「企業の成熟」が「腐敗を抱えだす」側面:
企業が成長し、組織が巨大化・複雑化していく「成熟」の過程で、当初の目的や活力が失われ、様々な「病理」が現れることがあります。
ご指摘の「腐敗」は、単なる汚職や不正行為だけでなく、より広範な意味での組織の機能不全を含むと解釈できます。例えば:
官僚主義の蔓延: ルールや手続きが目的化し、本来の目的達成よりも形式が優先される。
セクショナリズム: 部門間の対立が激しくなり、会社全体の利益よりも自部門の利益が優先される。
既得権益への固執: 変化を嫌い、現状維持を望む力が強くなる。
慢心と危機感の欠如: 過去の成功体験から、市場の変化や競合の脅威に対する感度が鈍くなる。
倫理観の低下: GEの会計操作に見られるように、短期的な利益追求のために本来守るべき規範が軽視される。
こうした「腐敗」とも言える現象が、成熟した巨大企業の中に静かに、しかし確実に蓄積していく可能性はあります。
「時代の変化に対応するだけの資源が枯渇した」側面:
これは、単に資金(カネ)が尽きたというだけでなく、より広い意味での「資源」の枯渇・機能不全と捉えることができます。
財務的資源: 巨額の負債や不採算事業が重荷となり、新たな成長分野や変革への投資余力が失われる。(例:過去の日産の有利子負債、GEの金融事業での損失)
人的資源: 変化を恐れたり、新しいスキルを習得できなかったりする人材が多くなり、イノベーションを推進する人材が不足・流出する。組織全体の活力が低下する。
組織的能力(仕組み・文化): 意思決定のスピードが遅くなり、市場の変化に迅速に対応できなくなる。挑戦を奨励せず、失敗を恐れる文化が、変革への取り組みを阻害する。長年かけて築いた強み(例:生産技術、販売網)が、逆に変化への足かせとなる。
結果として、物理的には多くの工場や従業員、資金を持っていても、それらを「時代の変化に対応する」ために有効に活用する能力、すなわち変革力や適応力といった本質的な「資源」が枯渇した状態に陥る、と解釈できます。
日産やGEのケースに当てはめると:
両社とも、それぞれの成熟期において、組織内部の硬直化や官僚主義、過去の成功モデルへの固執といった「腐敗」の兆候を抱えていた可能性があります。
そして、市場環境の激変(EVシフト、金融危機、デジタル化など)が起きた際に、それに迅速かつ効果的に対応するための組織的な能力や財務的な柔軟性といった「資源」が不足していた、あるいは有効に活用できなかった、と見ることができます。
結論として:
「企業の成熟が腐敗を抱えだし、時代の変化に対応するだけの資源が枯渇した」という表現は、巨大企業の衰退メカニズムを比喩的に、かつ本質的に捉えた見方の一つとして、非常に示唆に富んでいると言えるでしょう。それは、単なる外部環境の変化だけでなく、企業内部の質的な変化(組織の老化や機能不全)が衰退の大きな要因であることを示唆しています。
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