物質的価値から精神的/心理的価値への転換が必要であるという、消費主義、環境主義、ウェルネス運動などの批判で頻繁に見られるテーマがさす、精神的/心理的価値とは

 物質的価値から精神的/心理的価値への転換が必要であるという、消費主義、環境主義、ウェルネス運動などの批判で頻繁に見られるテーマがさす、精神的/心理的価値とは







(現在日時: 2025年4月23日 水曜日 午後7:19分 JST 横浜市)

「物質的価値観から精神的/心理的価値への転換が必要」という文脈で語られる際の**「精神的/心理的価値」**が具体的に何を指すか、ということですね。

これは、消費主義(モノをたくさん買うこと)、環境主義(地球環境への配慮)、ウェルネス運動(心身の健康志向)といった様々な流れの中で、**「お金やモノだけが豊かさではない」**という反省から重視されるようになった価値観を指します。具体的には、以下のようなものが含まれることが多いでしょう。

  1. 内面的な幸福・心の健康 (Psychological Well-being):

    • ストレスが少ないこと、心の平穏(Peace of mind)、感情的な安定。

    • 自己肯定感、マインドフルネス(今ここに意識を向けること)、精神的な健康全般。

    • (例:モノを買うより、瞑想やカウンセリングで心の安定を得ることを重視する)

  2. 人生の意味・目的・自己成長 (Meaning, Purpose, Personal Growth):

    • 自分の人生に深い意味や目的を感じること。

    • 自己の可能性を伸ばすこと、学び続けること、より良い人間になろうとすること(自己実現)。

    • 社会や他者、あるいは何か自分より大きなものへの貢献感。

    • (例:高収入だが空しい仕事より、収入は低くても社会貢献感のある仕事を選ぶ)

  3. 繋がり・関係性 (Connection, Relationships):

    • 家族、友人、地域コミュニティといった人々との温かく良好な関係

    • 自然との深いつながりを感じること、畏敬の念。

    • 場合によっては、特定の宗教によらないスピリチュアリティ(精神性、超越的なものとの繋がり)。

    • (例:ブランド品を買うより、家族や友人と過ごす時間や、自然の中で過ごす時間を大切にする)

  4. 経験と思い出 (Experiences over Possessions):

    • モノを所有することよりも、旅行、学習、創造的な活動、人との交流といった**豊かな「経験」をすること、そしてそれが良い「思い出」**となることを重視する。

    • (例:高級車を買うより、世界一周旅行に出かける)

  5. シンプルさ・足るを知る (Simplicity, Sufficiency):

    • 多くのモノを持たず、シンプルで質素な生活の中に豊かさを見出すこと。

    • 無駄な消費をせず、今あるものに感謝し、**「足るを知る」**という態度。

    • (例:ファストファッションを次々買うより、質の良いものを長く大切に使う)

  6. 倫理性・責任感 (Ethics, Responsibility):

    • 環境への配慮(サステナビリティ)、社会的な公正さ、将来世代への責任といった倫理的な観点を重視すること。

    • (例:価格が安くても環境負荷の大きい製品より、多少高くてもエシカルな製品を選ぶ)

これらの価値観は、物質主義や消費主義への偏りに対する反省から生まれ、より持続可能で、人間らしく、充実した生き方をもたらすものとして重視されます。

(私たちの議論の文脈からの補足) ただし、私たちが以前議論したように、これらの「精神的/心理的価値」でさえ、それが「特定の状態(例:常に平穏であるべき)」「特定の経験(例:特別なスピリチュアル体験)」「特定の成果(例:自己成長の達成度)」といった**「外部(あるいは未来)の目標」への依存を生む場合、あるいは特定のメソッドや指導者への依存を生む場合には、形を変えた「外部依存性」**となりうる、という視点もありましたね。真の内部からの肯定(存在と経験の価値観)とは、この点でも区別される可能性がありました。


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