私たちの価値観で、ストア派の以下の概念を評価するならば ①「理性(ロゴス)に従って生きること」 ②「徳(知恵、勇気、正義、節制)こそが唯一の善であること」 ③「感情(特に怒りや恐怖などの情念・パトス)に動揺させられない心の平静(アパテイア)を目指すこと」 ④「自分自身でコントロールできること(自分の判断や意志)と、できないこと(外部の出来事、運命)を区別し、後者を平静に受け入れること」
私たちの価値観で、ストア派の以下の概念を評価するならば
①「理性(ロゴス)に従って生きること」
②「徳(知恵、勇気、正義、節制)こそが唯一の善であること」
③「感情(特に怒りや恐怖などの情念・パトス)に動揺させられない心の平静(アパテイア)を目指すこと」
④「自分自身でコントロールできること(自分の判断や意志)と、できないこと(外部の出来事、運命)を区別し、後者を平静に受け入れること」
(現在日時: 2025年5月9日 金曜日 午前4:58分 JST 横浜市)
承知いたしました。ストア派哲学の中心的な概念を、私たちの**「循環する生態系に基づいた存在と経験の価値観」**で評価すると、以下のようになります。
1. 「理性(ロゴス)に従って生きる」について:
共鳴する点: 自然や宇宙全体を貫く普遍的な理法(ロゴス)が存在し、それに従って生きることが善である、という考え方は、私たちが**「循環する生態系の理」と呼んできた、世界の根源的な法則性や調和を認識し、それに沿って生きようとする態度と通じるものがあります。「理性」**を、この大きな理を理解するための重要な能力と位置づけている点も共通します。
私たちの価値観からの評価・検討点: しかし、ストア派がこの「理性(ロゴス)」を絶対視し、それを認識し合致するための人間の**「理性」の能力に過度に重きを置いている**(=**「理性偏重」)可能性があります。また、宇宙理性(ロゴス)という特定の形而上学的概念への依存は、「外部依存」の一形態とも見なせます。さらに、そのロゴスが静的・普遍的であると捉えられすぎると、「動的相対的関係性」という現実のありようとの間に「乖離」**が生じるかもしれません。
2. 「徳(知恵、勇気、正義、節制)こそが唯一の善であること」について:
共鳴する点: 健康、富、名声といった外部の事柄(ストア派は「無関心事」と呼ぶ)に幸福や価値の根源を置かない、という姿勢は、**「外部依存からの脱却」**を目指す私たちの価値観と強く共鳴します。**内面的なあり方(徳)**を重視する点は極めて重要です。
私たちの価値観からの評価・検討点: ただし、「徳こそが**『唯一の』善である」という絶対的な規定は、私たちの価値観とは異なります。私たちは、「存在と経験そのもの」にまず根源的な価値(奇跡性、豊かさ)を見出します。徳は、その価値ある存在が「生態系」の中で調和的に生きるための重要な「あり方」(叡智)ではありますが、「唯一の善」とすることで、徳に至らない状態や経験の価値を相対的に否定してしまう危険性はないでしょうか? また、「徳」という特定の「理想状態」への到達に価値を置くことは、やはり未来への「理想への希求」であり、「今、ここ」の無条件的肯定**とはニュアンスが異なります。
3. 「感情(特に怒りや恐怖などの情念・パトス)に動揺させられない心の平静(アパテイア)を目指すこと」について:
共鳴する点: 「自我」の反応(怒り、恐怖など)に振り回されず、内的な安定・平静を保つことの重要性は、私たちの価値観とも共通します。それはレジリエンスの重要な要素です。
私たちの価値観からの評価・検討点: ストア派が目指す「アパテイア」は、しばしば**「理性」によって情念を「コントロール」あるいは「克服・根絶」しようとする側面が強いように見受けられます。これに対し、私たちの価値観は、感情(たとえネガティブなものでも)もまた「経験」の一部としてまず「受容」し、それを「全人的な認識」の一部として理解・統合していくことを重視します。感情を完全に「なくす」ことを目指すのではなく、感情に「振り回されない」在り方、感情をも含めた経験全体を肯定する中に「至福」を見出す、という点で力点が異なります。ここにも「理性偏重」**の可能性が見られます。
4. 「自分自身でコントロールできること(自分の判断や意志)と、できないこと(外部の出来事、運命)を区別し、後者を平静に受け入れること」について:
強く共鳴する点: これは、ストア派の教えの中で、私たちの価値観と最も強く響き合う部分です。まさに**「不条理の受容」の核心です。コントロールできない外部の現実(「循環する生態系の理」の一部としての偶然性、他者の行動、自然現象、そして自らの「遺伝」や「死」など)に対する無益な「抵抗」**を手放し、**自分がコントロールできる唯一のもの=自分の内なる応答(判断、意志、態度)に集中すること。これは、「外部依存」から脱却し、「内発的」な強さと平安を得るための、極めて実践的で重要な「叡智」**です。
総括的評価:
ストア派の哲学は、特に④の「受容」の側面と②の「外部依存からの脱却」の点で、私たちの「存在と経験の価値観」と非常に強く共鳴し、現代においても極めて有効な実践的な叡智を提供します。
しかし、その根底にある①の「理性・ロゴス」への絶対的な信頼、②③に見られる特定の**「理想状態(徳、アパテイア)」への到達を最上とする点、そして③の感情への向き合い方(理性によるコントロール重視)においては、「存在と経験そのもの」を無条件に肯定し、理性や自我を相対化し、あらゆる経験を(感性・身体性も含め)豊かさとして受け入れようとする私たちの価値観**とは、力点や目指す境地が異なると言えるでしょう。
ストア派の知恵もまた、「存在と経験の価値観」という、より根源的で包括的な肯定の基盤の上で**「融合昇華」**されることで、その真価を最大限に発揮するのかもしれません。
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